アイヌの伝統儀礼で「動物神の霊送り」のこと。動物は肉や毛皮を背負って人間界を訪れた精霊と考えられており、荷をほどく(=解体する)ことによって霊魂を分離させ、礼を尽くして送り帰す神事が霊送りである。一般に知られるイヨマンテは、冬眠中のヒグマ狩りで、母グマのそばにいた子グマを1~2年育てたのちに行う。アイヌにとって最も重要な儀礼の一つだが、明治以来の同化政策や、「生きたクマを殺す野蛮な儀式」としてこれを禁じた1955年の北海道の通達により、学術研究以外ではほとんど行われなくなった。2006年10月、環境省が動物を用いた祭礼儀式は、正当な理由をもって適切に行われる限り動物虐待には当たらない、との見解を示したことから、道はイヨマンテがこれに該当するかどうかを環境省に照会、3月中旬に「該当する」との回答を得たため、4月2日付で関係団体や支庁長に通達廃止を伝えた。