1918年に児童文芸誌「赤い鳥」を創刊した児童文学者、鈴木三重吉の「子どもたちのために芸術として真価ある純麗な童話と童謡を創作する」という遺志を継いだ坪田譲治らが発起人となり、71年に創設された児童文学賞。赤い鳥の会主催。年間の創作児童文学作品(童話・小説など)の中から優れた作品に贈られる。2010年7月1日、東京都内で行われた第40回の贈呈式で、選考委員の高齢化や、優れた児童文学作品を世に送り出す使命を果たしたことなどの理由から同年度をもって終了することが、同会世話人代表の松谷みよ子によって発表された。同賞と合わせて「赤い鳥3賞」と呼ばれる、第28回新美南吉児童文学賞、第24回赤い鳥さし絵賞も終了する。新美南吉児童文学賞は「赤い鳥」出身の作家、新美南吉の業績を記念して新美南吉著作権管理委員会(現・新美南吉の会)が1982年に創設、新進気鋭の作家の作品を対象としている。また、赤い鳥さし絵賞は、児童図書出版社として「赤い鳥」の理想を継承する小峰書店の故・小峰広恵前社長を記念し、87年に創設された「さし絵(童画)」のための賞。赤い鳥文学賞は過去「マヤの一生」(椋鳩十)、「モモちゃんとアカネちゃん」(松谷みよ子)、「ハナと寺子屋のなかまたち」(森山京)などが受賞。また2010年は、赤い鳥文学賞に「建具職人の千太郎」(岩崎京子)、新美南吉児童文学賞に「優しい音」(三輪裕子)が選出され、赤い鳥さし絵賞は「建具職人の千太郎」のさし絵を担当した画家の田代三善が受賞した。