全国の気象台や測候所で観測されたサクラの開花日を結ぶと、天気図の前線のような線になることから“桜前線”と言われるが、気象庁の予報用語ではなくメディアなどで呼ばれるようになった言葉。気象庁では「さくらの開花日の等期日線」と言う。気象庁は、季節の遅れ進みや、気候の違いなど総合的な気象状況の推移を把握するためと、生活情報として利用するため、毎年、ウメ、サクラの開花日、カエデ、イチョウの紅葉日、ウグイス、アブラゼミの鳴き声を初めて聞いた日などの、生物季節観測を行っている。これらのデータを基に、毎年3月初めに第1回の「さくらの開花予想」を発表。以後1週間ごとに4月下旬の第8回まで行う。したがって実際には開花日ではなく開花予想日の発表となる。植物季節観測は観察する対象の木(標本木)を定め実施している。例えば、東京では靖国神社内のサクラである。サクラの開花日は標本木で5~6輪以上の花が開いた状態となった最初の日を言う。観測員が標本木の花数を数え「開花」と判断すると、メディアで俗に言う「開花宣言」と報道される。ちなみに満開日とは、標本木で80%以上のつぼみが開いた状態となった最初の日を指す。観測対象は主にソメイヨシノであるが、ソメイヨシノが生育しない沖縄・奄美地方ではヒカンザクラ、北海道ではエゾヤマザクラ、チシマザクラなどを観測する。