桜由来の素材を取り入れた甘味菓子(スイーツ)の汎称。毎年、桜の開花に合わせた3月を中心に、ホテルやショッピング施設などのケーキショップやカフェ、個人のパティシエが営むパティスリー、和菓子店、あるいはデパ地下展開のショップなどで、それぞれ趣向をこらした創作菓子が登場し、この呼び名が定着した。桜の花や葉のエキス、花や葉を酒類に漬け込んだ桜リキュール、桜のハチミツ、また和の素材である塩漬けの花や葉、それらを白あんに混ぜた桜あんなどを素材として用いる。昨今のスイーツでは、和・洋の素材の使い分けに垣根はなく、双方が相手の素材を取り入れることで、バラエティーの幅が一層広がっている。「桜餅」「桜まんじゅう」「桜かんてん」などの伝統的な和菓子もそのカテゴリーに入るが、上質な生和菓子の代表であり菓子職人の腕の見せ所である「ねりきり」などは、古くから桜由来の素材を取り入れており、創作桜スイーツのさきがけといえる。洋菓子の系統では、「ゼリー」「プリン」「アイスクリーム」「ホイップクリーム」「ムース」「ホワイトチョコレート」などに桜由来の素材を加え、ときに和の素材も取り入れながら、それらを組み合わせ、アレンジすることによって独自の菓子に仕立てることが多い。一方で、桜の香りは焼き菓子にしても「飛ぶ」ことがなく、マカロンやクッキーにも用いられ、特にスポンジケーキでクリームや具材を丸め込む「ロールケーキ」に仕立てるケースも目立つ。