トルコの社会派詩人ナジム・ヒクメット(1902~63)が、被爆した女の子の視点で原爆の惨禍をつづった詩。1956年に発表され、原題はトルコ語で「少女」。被爆して亡くなり、誰にもその姿が見えない7歳の女の子が、家々の戸をたたいて「平和な世界に どうかしてちょうだい 炎が子どもを焼かないように あまいあめ玉がしゃぶれるように」(中本信幸訳)と訴えかける。トルコ国内をはじめ、アメリカを代表するフォーク歌手のピート・シーガーが、「I Come and Stand at Every door」の題名で歌ったことなどから、広く知られている。日本では、ロシア文学者の中本信幸が訳し、指揮者の外山雄三が作曲した楽曲が、合唱曲として定着している。2005年の原爆記念日(8月6日)には、広島の原爆ドーム前で行われたライブイベントで、歌手の元ちとせが歌って話題となった。坂本龍一のアレンジ、プロデュースによる同曲は、06年に発売の元ちとせのアルバム「ハナダイロ」の初回生産版に収録されたほか、05年以降、毎年8月限定で、音楽配信サイトでリリースされている。