学問・文化・産業面において善行や業績のあった民間人を表彰する国の栄典の一つ。1881(明治14)年に褒章条例により、紅綬(こうじゅ)、緑綬(りょくじゅ)、藍綬(らんじゅ)の褒章が定められ、その後、1918(大正7)年に紺綬(こんじゅ)、さらに55(昭和30)年に黄綬(おうじゅ)、紫綬(しじゅ)が加えられ、6種となっている。褒章のデザインは、「褒章」二字を桜の花で飾った円形のメダルで、リボンの色で区別される。章はメダル、綬はリボンの意味。紅綬褒章(Medal with Red Ribbon)は、自己の危険を顧みず人命の救助をつくした人に贈られる。緑綬褒章(Medal with Green Ribbon)は、みずから進んで社会に奉仕する活動に従事し徳行が顕著な人が対象であるが、第二次世界大戦以降受章者は3人のみで、近年は例がない。黄綬褒章(Medal with Yellow Ribbon)は、篤農家や一般勤労者を対象に、業務に精励し人々の模範となる人に。紫綬褒章(Medal with Purple Ribbon)は、学術、芸術上の発明や改良、創作に関して事績の著しい人に。藍綬褒章(Medal with Blue Ribbon)は、教育、衛生、慈善活動など公衆の利益を興した人、もしくは保護司、民生・児童委員、調停委員などの事務に尽力した人に。紺綬褒章(Medal with Dark Blue Ribbon)は、公益のために私財を寄付した人などに、それぞれ贈られ、授与は春(昭和の日 4月29日)と秋(文化の日 11月3日)の2回である。勲章・褒章ともに、特段の待遇があるわけではなく、また年金もつかない。
なお、2009年秋の紫綬褒章は、中島みゆき(シンガー・ソングライター)、久石譲(作曲家)らに授与された。