柔道の審判委員制度の通称。主審1人と副審2人で構成される審判員に対し、その判断に疑義がある場合などに、試合を中断して確認や助言、意見ができる審判委員(jury ジュリー)を配置する制度のこと。誤審を防ぐため国際柔道連盟(IJF)では1990年代から採用しているが、2007年にビデオカメラを用いた判定のサポートシステムを本格導入したことで、存在感が増している。全日本柔道連盟の「審判委員規定」では、「審判委員は、審判員の最終決定を尊重しなければならない」とあり、審判員が下した技の評価について審判委員は「言及しない」と定められている。一方、国際柔道連盟の管轄で行われる大会では、ジュリーの権限に関する規定は明文化されておらず、審判員の判定を覆すケースも見られる。12年夏のロンドン・オリンピック柔道男子66キロ級の準々決勝、日本の海老沼匡(まさし)選手と韓国選手の対戦では、延長戦後の旗判定で当初韓国選手の勝利とされたが、ジュリーの介入によって海老沼選手の勝利へと異例の変更が行われた。国際柔道連盟によれば、ジュリーが旗判定にまで介入したのは初めてであり、物議を醸す結果となった。