新素材の技術で特殊な加工を施した生地を用い、さまざまな機能性をもたせた肌着。吸水性や通気性など、必要な機能に特化したスポーツウエアなども含むが、日常に着用する防寒用肌着をさすことが多い。肌着に防寒性をもたせるには、羽毛や羊毛のような構造で暖かい空気を閉じ込めることも有効であるが、昨今では、吸湿発熱素材とよばれるポリアクリレート系繊維の生地を用い、体から発せられた汗の水分を利用して生地自体を発熱させるメカニズムの製品が主流になっている。この吸湿発熱効果は繊維がもともともっている性質の一つで、水分が気化する際に熱を奪っていく気化熱の逆の現象であって、吸着熱ともいう。つまり、体から発せられた汗の蒸気が、繊維に設けられた親水基、すなわち水を吸い寄せる性質をもつ化学構造に付着して、液体となって静止する際に、気体として飛び回っていたときの運動エネルギーが熱エネルギーに変換されることによる。こうした生地には、保温性はもとより、発熱のための水分を確保しつつ、逆に気化熱によって熱が奪われないよう、適度に水分を外部へ逃がすような性質も要求され、紡績や紡織時にも構造的な工夫をもたせているという。それは同時に、ドライな着心地に通じる吸水効果や、雑菌の繁殖によるにおいを抑える防臭効果にもつながっている。各社ともウエア上下をそろえ、そでの長さ、色などによる商品展開をしており、いずれも通常の木綿の肌着と比べれば若干高額ではあるが、防寒性が格段に優れているうえ、生地が薄く、体に密着するような伸縮性をもつため、動きやすさや見た目を損なう着膨れが起こらない。群を抜く色と形のバリエーションで支持を得るユニクロの「ヒートテック(HEATTECH)」や、グンゼの「ホットマジック(HOTMAGIC)」、ミズノの「ブレスサーモ(BREATH THERMO)」などをはじめ、大手スーパーのプライベートブランドなどからも、同様の製品が多数登場している。