伊勢神宮の神職の長。伊勢神宮にのみある神職で、祭主、惣官とも呼ばれる。祭主は「さいしゅ」の他、「まつりのつかさ」とも読む。史書での初出は「続日本後紀」と言われ、大中臣淵魚(おおなかとみのふちな)が815年から842年までの間に祭主であった旨が記述されている。以後、祭主は中臣氏、大中臣氏の世襲によって続くが、明治になって世襲制は廃止された。1896年、勅令である神宮司庁官制によって、祭主は皇族または公爵が親任されることになり、天皇の大御手代(おおみてしろ、天皇の代わりの意)として伊勢神宮に常住し、祭祀を取り仕切ることになった。第二次世界大戦以後は、明治天皇第七皇女・北白川房子氏、昭和天皇第三皇女・鷹司和子氏、昭和天皇第四皇女・池田厚子氏が就任している。2012年5月、伊勢神宮は、20年ごとに社殿を造り替える式年遷宮の行事執行のため、高齢の池田氏の補佐役として今上天皇第一皇女・黒田清子氏が臨時祭主として就任したと発表した。