国連教育科学文化機関(UNESCO ユネスコ)が2006年に発効した「無形文化遺産の保護に関する条約(無形文化遺産保護条約)」に基づいて、世界各地の芸能、祭礼行事、工芸技術、風俗慣習などを登録、保護する制度。建造物や遺跡、自然などの有形とは違って、無形の文化財が対象である。11年12月現在142カ国が同条約を締約している。ユネスコは、これら締約国に対して、各国内の無形文化遺産を特定し目録を作成することを求め、ユネスコにおいて「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表(代表一覧表)」および「緊急に保護する必要がある無形文化遺産の一覧表(緊急保護一覧表)」を作成することなどを定めている。日本においては、文化審議会文化財分科会に「無形文化遺産保護条約に関する特別委員会」を設置し、同委員会における調査・審議を踏まえ、代表一覧表に記載するための提案を行う。日本からは、能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、雅楽、組踊、結城紬などの重要無形文化財が8件、京都祇園祭の山鉾行事、アイヌ古式舞踊、壬生の花田植、佐陀神能などの重要無形民俗文化財が12件、計20件が登録されている。12年3月9日、政府は無形文化遺産への登録に「和食;日本人の伝統的な食文化」を推薦することを正式に決定。最短で13年秋に登録の可否の審議がなされる。