ロシア皇室御用達の宝石職人ピーター・カール・ファベルジェ(1846~1920年)によるイースターエッグを模した宝飾品のシリーズ。ロシア王室の50個を中心に計62個が作られた(68個という説もある)。2007年11月28日、ロスチャイルド家のために作られた作品がロンドンのクリスティーズでオークションに出品され、手数料を含む898万ポンド(約20億円)で落札された。それぞれの中に「驚き」と呼ばれる趣向を凝らした仕掛けが入っていて、1885年最初に作られた「めんどりエッグ」は、白い七宝の殻の中に、黄金の雌鳥が入っているという単純なものだったが、次第に軍艦や馬車の精巧なミニチュア、時計仕掛けの自動人形など、豪華で複雑なものに進化した。今回の出品作品は1902年作で、前面に時計をあしらったピンクの卵から、1時間ごとにダイヤモンドをちりばめた雄鶏が現れ、羽ばたきながら時を告げる。落札者はロシアの収集家で、「ロシアがこの卵の永遠の故郷だ」と語っている。