「大般若波羅蜜多経(だいはんにゃはらみったきょう)」の略称。大般若ともいい、全600巻で16部に分かれている。初期の大乗仏教経典で、唐(618~907年)の僧、玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)がインドから持ち帰り、約4年の歳月をかけて漢訳した。「仁王経(にんのうきょう)」と「般若心経」を除き、「大品(だいぼん)般若経」や「金剛般若経」など、般若部の経典類を集大成したもので、般若波羅蜜(真理を認識する最高の智慧)や諸法皆空(この世のあらゆる事象は「空」である)などについて明らかにしている。読み唱えたり書き写したりすると功徳があるとされたことから、鎮護国家などのために重用され、経の最初や中ほど、終わりの数行だけを略読する「転読」が宗派を問わず行われた。2011年2月1日、奈良市の薬師寺が、奈良時代に書写された大般若経47巻が見つかったと発表した。鎌倉時代に興福寺の僧、永恩が集めた「永恩具経」と呼ばれるもので、これまで約40巻しか知られていなかった、重要文化財級の貴重な経典とされる。1982年まで毎月、薬師寺の「大般若経転読法要」で使用していた。