仏教で、彫刻や絵画などに描かれた仏像や菩薩像、曼荼羅(まんだら)、墓、石塔、仏壇、位牌(いはい)などにこもる「魂」を抜く儀礼。それらの修復や移転、処分などの際、信仰の対象から「物体」に戻すために行われる。宗派や地域などにより、「御魂抜き(みたまぬき)」「お精抜き(おしょうぬき)」「お性根抜き(おしょうねぬき)」「ご芯抜き」「閉眼法要(へいげんほうよう)」「遷仏法要」「遷座法要」など、様々に呼ばれる。修復や移転が終われば、再び魂を入れる「開眼法要(かいげんほうよう)」が行われる。神社などでも、本殿の新調修理や祭りなどで御神体を仮殿や神輿に遷(うつ)す際などには、しばしば「御魂(御霊)抜き」が行われる。2012年9月3日、世界遺産にも登録された京都府宇治市の平等院鳳凰堂(国宝)で、56年ぶりの大修理が始まり、本尊の阿弥陀如来坐像と堂内の壁に配置された52体の雲中供養菩薩(いずれも国宝)の魂を抜く「撥遣式」が行われた。工期は2014年3月31日までの予定。鳳凰堂は藤原頼通により、1053(天喜元)年に完成。これまで、1902~07(明治35~40)年、50~57(昭和25~32)年に大規模修理が行われている。