2009年の第8回朝日舞台芸術賞グランプリ、第16回読売演劇大賞・最優秀作品賞を受賞した演劇作品。日韓合同公演として日本の新国立劇場と韓国のソウルアートセンターが制作。脚本は、「血と骨」や「愛を乞うひと」など、映画やテレビの脚本で活躍する岸田國士戯曲賞受賞作家の鄭義信(チョン・ウィシン)、演出は鄭と韓国で最も注目されている若手演出家の梁正雄(ヤン・ジョンウン)。日本では08年4月、韓国では同年5月に上演されたが、日韓両国で公演チケットがすぐ完売になるほど話題を呼んだ。舞台は万国博覧会が開催され、高度経済成長真っただ中の、関西地方のある在日韓国人の集落。焼肉店を営む在日コリアンの家族が、時代に翻弄(ほんろう)され一家離散の憂き目に遭いながらも必死に生きる姿を通して、民族の誇りやたくましさ、家族のきずなを描いている。日韓の俳優が共演し、日韓両国語が飛び交う、涙あり笑いあり詩情ありのエネルギーあふれる舞台が高く評価されている。「焼肉ドラゴン」はほかに第12回鶴屋南北戯曲賞を受賞、鄭義信は個人としても読売演劇大賞の優秀演出家賞、第43回紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞している。