「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」(岩崎夏海著、ダイヤモンド社)の略称。ビジネス書では定番の「知の巨人」「経営学の父」ピーター・F・ドラッカーと女子高生という意外な組み合わせと、ライトノベル風のカバー絵、泣かせるストーリーなどが評判になり、2009年12月の発売以来、3カ月で18万部を発行する大ヒット。口コミやネット上などで「もしドラ」の略称で呼ばれるようになった。ピーター・フェルディナンド・ドラッカー(1909~2005年)はウィーン出身の経営学者で、現代思想にも大きな影響を与えた。代表作「マネジメント―課題・責任・実践」は、1974年に発表されている。「もしドラ」の物語は、弱小野球部の新人マネージャー「みなみ」が、偶然ドラッカーの大著「マネジメント」を手にしたところ、そこに書かれた箴言(しんげん)が、ことごとく自分と野球部に当てはまることに気づき、同書の教えに基づいて甲子園を目指すというもの。著者が自身のブログに同名の表題で書いた記事が版元の編集者の目にとまり、単行本化が実現。破格で強引な設定だが、「顧客とは誰か」→「高校野球を見てくれる全ての人」、「顧客は何を買うか」→「感動」など、斬新な解釈でドラッカーをわかりやすく解説。かつて秋元康に師事し、放送作家として培った著者のノウハウにより、お約束の物語を感動的に盛り上げている。