読売新聞が主催する文学賞。原則として、前年11月からその年の11月までに発表・刊行された文学作品を対象とし、小説賞、戯曲・シナリオ賞、随筆・紀行賞、評論・伝記賞、詩歌俳句賞、研究・翻訳賞の6部門がある。正賞は硯(すずり)、副賞は各200万円。毎年11月に既受賞者や文芸界諸氏に推薦を依頼し、12月の第一次選考会、1月の最終選考会を経て2月1日付で発表となる。第二次世界大戦後の文芸復興の一助となることを目的として、1949年に創設。当初は5部門だったが、第19回(67年度)に随筆・紀行部門が加わり、第46回(94年度)からは戯曲部門を戯曲・シナリオ部門に改めた。歴代受賞者には、井伏鱒二や斎藤茂吉、小林秀雄、三島由紀夫、室生犀星、安部公房など錚々(そうそう)たる名前が並び、同賞を権威づけた。2013年2月1日、第64回(12年度)の発表があり、小説賞に多和田葉子の「雲をつかむ話」と松家仁之の「火山のふもとで」、戯曲・シナリオ賞にヤン・ヨンヒの「かぞくのくに」(映画シナリオ)、評論・伝記賞に池内紀の「恩地孝四郎 一つの伝記」、詩歌俳句賞に和田悟朗の「風車」、研究・翻訳賞に亀山郁夫の「謎とき『悪霊』」と宮下志朗・訳の「ガルガンチュアとパンタグリュエル 全5巻」(フランソワ・ラブレー著)が選ばれた。随筆・紀行賞は受賞作なしだった。今回の選考委員は池澤夏樹(作家)、伊藤一彦(歌人)、小川洋子(作家)、荻野アンナ(作家、フランス文学者)、川本三郎(文芸評論家)、菅野昭正(文芸評論家、フランス文学者)、高橋睦郎(詩人)、沼野充義(文芸評論家、ロシア・東欧文学者)、野田秀樹(劇作家)、松浦寿輝(詩人、作家、批評家)、山崎正和(劇作家、評論家)の11人。