創業140周年を迎える大手書店の丸善が始めた「書店内書店」。アマゾンなどインターネット書店の台頭や出版のデジタル化など、本を取り巻く環境が急速に変化しつつある現代に、店舗営業を行う書店の存在意義を改めて問い直そうという試み。2009年10月23日、丸善の丸の内本店4階にオープンした。編集工学研究所所長で、無類の「本読み」である松岡正剛がプロデュース。両者の名を採って「松丸本舗」と名づけた。小規模書店ならすっぽりと入る215平方mの広さに、新刊・古書、洋書・和書を取り混ぜておよそ5万冊の本を陳列。「本の連続性」をコンセプトにジャンル別、著者別、出版社別といったカテゴリーから離れた松岡独自の分類で、松岡の書評サイト「千夜千冊」の掲載本がそろう「本殿(ほんでん)」、シーズンごとにテーマを設定する「本集(ほんしゅう)」、作家の町田康や女優の山口智子など著名人の書棚を再現した「本家(ほんけ)」など、11のコーナーがらせん状に配される。これらの本はすべて購入でき、本と人との新たな出会いの場となる。古書と新刊をはじめとする現在流通している書籍を同列に扱い、同じレジで対応するのはこれが初めて。書店の未来像を探る実験店舗として、今後も様々な取り組みを予定している。