フィンランドのオルキルオトに建設されている、世界初の高レベル放射性廃棄物最終処分場を描いたドキュメンタリー映画。2011年3月11日に発生した東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)に配慮して、破壊的な映像などが含まれる映画作品の公開中止や延期が行われるなかで、11年4月2日から渋谷アップリンクで緊急上映され、連日満員となるなど話題を集めている。監督は「スピーシーズ」「キル・ビル」シリーズなど、アクション作品でタフガイを演じるハリウッド俳優であり、コンセプチュアル・アーティストでもあるマイケル・マドセン。フィンランドでは、固い岩盤を掘削し、地下500メートルに、原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場を造る、地層処分を計画している。高レベル放射性廃棄物は安全な状態になるまで10万年以上かかるといわれており、最終処分場はフィンランド語で隠された場所という意味の「オンカロ」と呼ばれている。マイケルは自らオンカロに潜入し、巨大な地下都市のようなその内部を紹介するとともに、原子力の専門家やオンカロで働く人々の証言などを提示し、計画の是非を問うている。配給するアップリンクによると、同作品は11年秋に公開する予定だったが、東京電力福島第一原子力発電所事故が発生し、原発に関する知識が求められていると考え、緊急公開する事を決めたという。好評を受けて、同年4月16日よりヒューマントラストシネマ有楽町、吉祥寺バウスシアター、横浜ニューテアトルで拡大公開されたほか、全国各地での公開も続々決定している。なお、拡大公開含む4館では、同映画の入場料1600円のうち200円が原発事故ならびに東日本大震災の義援金として寄付される。