エンバーミング(遺体衛生保全)を施す人。エンバーミングとは、故人を生前の元気だった姿に近づける科学的・医学的処置で、大きく分けて防腐、修復、防疫の3つからなる。遺体を洗浄・消毒し、血液と防腐液を入れ替える。必要に応じて顔の復元処理と化粧を行う。これによって遺体の長期保存や感染症の予防が可能になり、遺族の悲嘆の軽減や故人の尊厳を守ることに役立っている。北米では利用が約90%に上るが、日本での受容の歴史は浅く1988年に埼玉県で行われたのが最初。現在では、IFSA(日本遺体衛生保全協会)の調べによると、エンバーミングの施設は全国で30カ所(2007年)。利用者は年間1万人以上に上っている。遺体を飛行機で輸送する場合などはエンバーミングを条件としている航空会社が多い。エンバーマーになるには、アメリカなど海外に留学し、エンバーマーのライセンスを取得するか、エンバーマー養成施設(日本に2校)を卒業したあと、IFSAのエンバーマー認定試験を受験してライセンスを取得する。日本にはエンバーミングについて定めた法律がなく、エンバーマーという資格は国家資格ではない。IFSAがエンバーミングに関する自主基準を定めている。