マンガ家・大友克洋の原画を約3000枚展示する、初の総合原画展。大友克洋GENGA展実行委員会の主催で、2012年4月9日~5月30日まで、東京都千代田区の「3331 Arts Chiyoda」で開催される。入場は日時指定の予約制で、一般入場料(大人)1500円のうちの500円、さらにチャリティーオークションの収益が、東日本大震災の被災地復興支援活動に役立てられる。場内には、同氏が監督を務めた07年の実写映画「蟲師(むしし)」で音楽を担当した、はい島邦明(はいは草かんむりに配)によるBGMが流れ、これを収録したCDをはじめ、カタログなどの各種グッズも販売される。また会場には、1984~93年まで連載された代表作「AKIRA」の作中で主人公・金田正太郎が操る「金田のバイク」の実物大レプリカも置かれ、記念撮影ができることもあり、話題になっている。これはショウワスタジオ(福岡県福岡市)の手嶋真志氏が7年の歳月と約1000万円の製作費をかけて再現したもので、実際に走行もでき、同展のサイトでは動画も紹介されている。
大友克洋は1954年4月14日生まれで、宮城県出身。73年に「銃声」でデビュー。それまでのマンガのセオリーをくつがえす大胆な画面構成をはじめ、圧倒的な画力に支えられた緻密な描写と躍動感、イマジネーションにあふれた独特な世界観で、海外も含め多くのファンを獲得している。同時に、多くのマンガ家にも影響を与え、マンガ界に「大友以前・以後」という分類まで成立させた。83年に発表された、超能力の暴走と衝突を描く「童夢(どうむ)」で同年の第4回日本SF大賞を受賞し、一躍注目を浴びるようになる。続く「AKIRA」では84年の講談社マンガ賞を受賞し、翻訳出版を通じて世界的な評価を得るとともに、88年公開のアニメ映画化に際しては、自ら監督を務めた。その後、2004年公開の「スチームボーイ」をはじめ、アニメーションを中心に劇場作品の監督を務めるなど、活躍の場を広げている。