ベルギー西部にある小都市イーペルで行われる、猫がテーマの祭り。起源は諸説あるが、中世の魔女狩りで、魔女の使いとされた黒猫を退治したのが始まりとも、当時、毛織物で栄えたこの町が、ネズミから毛織物を守るために放った猫が増えすぎたことに由来するとも言われる。そろいの衣装や仮面などを着けた市民たちと音楽、にぎやかな山車などによる大規模なパレードが特徴。世界の猫好きにはよく知られた祭りで、ベルギーの旅行ガイドには、必ずといっていいほど載っている。2012年5月13日に第43回を開催。人口3万5000人の小都市に、世界中から多くの愛猫家が集まった。現在のような大規模なパレードになったのは1955年からで、これを第1回としている。毎年開催していた時期もあるが、90年代からは3年に1度、5月の第2日曜日開催になっている。パレード本番は午後3時から。中でも目玉となるのは、「イーペルの猫たち」と呼ばれる出し物で、猫の着ぐるみやコスプレをまとった子供たちや、周辺住民を含む約2000人が、巨大な男女の猫や、巨人、悪魔などの山車とともに町中を練り歩く。パレードが終わると、世界遺産にも指定された高さ133メートルの鐘楼から、猫のぬいぐるみが投げられる。中世には実際に猫を投げ落としていたが、今では幸運のシンボルとして、人々がぬいぐるみを奪い合う。最後に等身大の魔女人形を火あぶりにして、祭りはフィナーレとなる。