中国・北宋(960~1127年)時代末頃の都開封(かいほう)の様子が描かれた風俗画。空前の繁栄を見せる都のありさまを精緻な描写で生き生きと描き、中国絵画史上最高傑作とされ、「神品」とも評されている。所蔵する北京故宮博物院でもほとんど公開されたことがない門外不出の名画だが、日中国交正常化40周年を記念して2012年1月2日より東京・上野の東京国立博物館平成館で開催される「北京故宮博物院200選」で、初めて国外での公開が実現する。「清明」とは、中国の伝統的祝日「清明節」のことで、新暦の4月5日ごろに当たる。春本番を迎えたこの日、人々は墓参りをしたり、花見などに興じたりする。開封には隋の煬帝が開いた運河が流れ、この川沿いに繰り広げられる清明節のにぎわいが画題となっている。縦24.8センチ、長さ528センチの絹本に、墨と淡彩で描かれた図巻で、登場人物約800人、川には大小25隻の船が浮かび、運河や高楼、美しいアーチを描く虹橋、商店や酒家、屋台、車馬の往来、群衆など、当時の街並みと庶民の暮らしが鮮やかに再現されている。あまりの出来栄えに後世多くの模本、偽作を生み、やがては一つのジャンルとなった。一方で、本物は時の皇帝徽宗に献じられたが、北宋を滅ぼした金に奪われて以来民間と宮廷を転々とし、1950年、ようやく北京故宮博物院に収まった。作者張択端についても、巻末に付された金代の跋文(ばつぶん)により、辛うじて作者とされているだけで、他の記録や作品は一切残っていない。なお、会期は2月19日までだが、「清明上河図」の展示は1月24日まで。