静岡県伊豆市の修善寺温泉を流れる桂川(修善寺川)の川中にある温泉。2004年台風22号で桂川が氾濫し、周辺に大きな被害が出たことから、岩を組んでかさ上げした湯船が川の流れを阻害するとして、06年、県が「河床を下げる」「左岸に移設」の2案を示した。これを受けた地元住民らによるアンケートの結果、7割以上の住民が移設に反対しなかったため、早ければ07年度中にも移設工事が行われることとなった。しかし、ここは807年、弘法大師がこの地を訪れた折、病の父親を川で洗う少年を見かけてその健気さに打たれ、手にした独鈷杵(読みは「どっこしょ」「とっこしょ」など。密教法具の一種)で川底の岩を砕いたところ、霊泉が湧き出したという修善寺開湯伝説の地であり、同温泉のシンボルだっただけに、現状での保存を望む声も根強く、また07年は開湯1200年という記念の年でもあり、地元住民には苦渋の選択だったようだ。