2010年6月7日に文部科学大臣に答申された新しい漢字使用の目安2136字。「新常用漢字表」とも言う。常用漢字表とは、法令、公文書、新聞、雑誌、放送など一般社会での漢字使用の目安になるもので、現行は1981年に内閣告示された1945字。学習指導要領などでは、中学でだいたいを読め、高校で主なものが書けるように求められている。しかし現行の漢字表は、「手書き」を基本としており、その後の社会の大幅な変化、つまり「書く」より「打つ」と自動的に変換されるパソコンや携帯電話などの情報機器の広範な普及を想定していないものだった。情報機器の普及により、手書きでは難しいとされた漢字の使用頻度や習得機会があがったため、時代の流れに合わせた常用漢字表の見直しの必要が生じていた。2005年3月、情報化時代に対応する漢字政策のあり方を諮問された文化審議会(西原鈴子会長)は、常用漢字表の見直し作業をすすめてきたが、10年6月7日、現行の常用漢字表の中から勺(しゃく)、匁(もんめ)などの5字を削り、新たに196字を加えた2136字を「改定常用漢字表」として文部科学大臣に答申した。早ければ11月にも告示される。今回の改定では「すべてを手書きできる必要はない」とし、年齢などに応じて難しい常用漢字にも振り仮名を用いるよう促したのが大きな特徴で、「鬱(うつ)」「彙(い)」「挨拶(あいさつ)」などが追加された。また固有名詞にしか使用しない漢字は常用漢字に含まないのが前提だが、例外的に「茨」「岡」「埼」「栃」「阜」などが追加された。一方、「鷹(たか)」「雀(すずめ)」など追加の要望が高かったものが落選し論議を呼んだ。