千葉県千葉市緑区にある縄文時代後期(約4000年前)を中心とする複合遺跡。2009~11年に行われた発掘調査で、集落跡の竪穴式住居に漆喰(しっくい)と見られる白土が見つかっていたが、分析の結果、漆喰であることを確認したと、調査を担当する玉川文化財研究所に取材した読売新聞が、2012年3月9日付朝刊で発表。これによると、白土は焼いた貝殻を粉末状にして水や土と混ぜたもので、主成分は現在の漆喰と同じ消石灰(水酸化カルシウム)だという。世界最古の漆喰は、エジプトで見つかった約5000年前のもの。古代ギリシャのアクロポリス(紀元前5世紀半ばごろ完工)や、万里の長城(紀元前657年~西暦1600年ごろ造営)などにも見られる。日本には古墳時代(3~7世紀ごろ)に伝わったとされ、キトラ古墳(7世紀末ごろ)や高松塚古墳(7世紀末~8世紀初頭)などでは、壁画の下塗りや石材間の目地埋めなどに使われていた。今回確認された漆喰は、直径約140メートルほどの集落に点在する住居跡98軒のうち、33軒で炉穴の内部に塗り込まれていた。さらにそのうち3軒は、周辺の床も厚さ1センチほどに塗られていた。また記録によれば、付近にある同時期の別の遺跡でも、炉内に白土が見つかっていたという。この発見により、これまでの定説は2500年ほどさかのぼって修正されることになるが、ほかのどの地域にも見られないことから、同研究所では、この地域で独自に生まれた技術だが、外に広まることなく失われたのではないかと推測している。