京都の夏を彩る八坂神社の祭礼、祇園祭のクライマックスとなる「山鉾巡行(やまぼこじゅんこう)」で、常に先頭を務める「長刀鉾(なぎなたぼこ)」の欄縁下四方を飾る3種の水引(幕)のうち、一番上に懸かっている「下水引(したみずひき)」を彩る刺繍(ししゅう)の図柄。鮮やかな猩々緋(しょうじょうひ)の羅紗地(らしゃじ)に、五色の彩雲を散らし、そこに大きく麒麟(きりん)を配してある。1755(宝暦5)年の製作で劣化が著しく、後面(縦68cm、横280cm)は明治以降でも1898年と1941年に下地を変えるなどの修復が行われてきたが、2007年6月11日、約250年ぶりに復元新調され、報道陣に公開された。羅紗(毛織物)の地に金糸銀糸などをふんだんに使った刺繍で、総費用は1250万円。およそ1年がかりで製作された。すでに前面は1988年に復元新調されており、残る左右の側面も、2008~09年に復元新調される予定。