野球で、明らかにアウトにできるのに、野手がそのためのプレーを行わないことを指す記録上の用語。野選と略される。例えば、2塁上に走者がいる状態で打者が内野ゴロを打ったが、ゴロを捕球した野手は、2塁走者の進塁阻止を優先して、1塁には送球しなかった。この場合、1塁でセーフになった打者のプレーは、「野選による進塁」と記録される。「明らかにアウトにできる」かの判断は、公式記録員がその場で行い、状況によって安打、失策などと区別される。さらに、公認野球規則10.08(g)によれば、走者が盗塁を試みても、野手がこれを阻止するプレーを行わなかった場合、「盗塁」は認められず、「野選」となる。この規則は特に、大量得点などで勝敗が決している試合での盗塁を、「守備側を侮辱する行為」として非難する意味で厳格に適用され、アメリカや韓国などでも慣例となっている。しかし、日本の野球界では、同様の例についても独自の解釈で「盗塁」と記録していたことから、2008年1月に開かれた、プロ・アマ合同の日本野球規則委員会は、プロ野球において、国際的な解釈に準じた「野選」の適用を確認。同年のオープン戦からの実施を決めた。