大阪市を代表する歓楽街「新世界」のシンボル通天閣の5階展望台に安置されている「通天閣の本尊」。足の裏をかくと御利益があるとされ、今も受験から縁結び、商売繁盛まで、何でも願掛けされている。2008年は誕生100周年に当たり、これを記念して、06年に寄贈された「平成のビリケンさん」が、07年8月から全国タワー協議会に加盟する11のタワーを巡回している。大阪らしいユーモラスな姿だが、1908年にアメリカの女性美術家が、夢のお告げに従って製作したとされる。翌09年、ホースマン社が版権を取得、第27代大統領タフトのニックネーム「Billy」にちなみ、「Billiken」と名づけて売り出すと、「幸福の神様」とされ世界中で流行した。同年には日本にも入り、11年には、現在も「BILLIKEN」として日本での版権を持つ大阪の繊維商社田村駒が、これを商標や看板として大いに売り出した。さらに12年、初代通天閣がオープンすると、七福神+1の「八福神」として置かれ、関連グッズが飛ぶように売れたという。ところが23年の遊園地閉鎖で行方不明となり、56年の通天閣再建後も長く不在だったが、79年、田村駒の像をモデルに復元され、現在に至っている。