日本列島各地のお雑煮をめぐる分布地図。伝承料理研究家の神戸山手大学教授奥村彪生が作成した。小西酒造が運営するウェブサイト上で閲覧することができる(http://www.konishi.co.jp/html/fujiyama/zouni/index.html)。餅のかたちや餅を焼くか煮るかの違い、汁の味付けの違い、またみその種類などによって、それぞれの文化圏を地図上で示している。汁の味付けでは、みそを使わずしょうゆや塩で味付けをする「すまし文化圏」がもっとも広範にみられ、近畿周辺地域を除く、日本全域に及んでいる。一方、近畿と四国東部は、主に「白みそ文化圏」で、越前は「赤みそ文化圏」、山陰は「小豆汁文化圏」。また、石川県金沢から岐阜県関ヶ原をへて、和歌山新宮へと至るラインを境に、東日本が「角餅文化圏」で、西日本が「丸餅文化圏」となっている。宮廷文化の影響が強い関西では、丸餅にみそ仕立てなのに対して、武家文化の影響が強い東日本では、角餅にすまし仕立てとなっている。一方、九州や山陽などは、参勤交代により江戸文化を取り入れたため、すまし仕立てと丸餅とが融合された京・江戸折衷型となっている。なお、北海道と沖縄は、伝統的な雑煮文化がないため掲載されていない。具材は地域の産物や各家庭の個性等によって異なるため、全国にはさまざまな雑煮が存在するが、同図では、各地域による雑煮文化の大まかな分布をみることができる。