東京23区内唯一の渓谷「等々力渓谷」にある滝。平安時代末期、真言宗中興の祖とされる興教大師覚鑁上人(こうぎょうだいしかくばんしょうにん)が、夢のお告げにより役の行者(えんのぎょうじゃ)作の不動明王を背負って当地を訪れ、手にした錫杖(しゃくじょう)で岩を穿(うが)ったところ、霊泉があふれ滝になったと伝わる。等々力の地名は、この滝のとどろく音に由来するとも言われる。この不動尊を安置したのが等々力不動尊(瀧轟山明王院、満願寺別院)で、修験道の道場として滝行に訪れる修行僧が絶えなかったという。現在では水量も減り、2つの竜頭から白糸のような細い水が落ちるばかりだが、関東三十六不動霊場の一つとして、今も多数の巡礼者が訪れる。また近年は、明治神宮の清正井(きよまさのいど)などに次ぐ都内のパワースポットとして注目されるようになり、渓谷の豊かな自然とともにしばしばメディアなどで採り上げられるようになった。宗祖弘法大師にちなみ、学業成就・芸事上達のご利益をうたわれていたが、最近では、健康運、家族運なども祈念されているという。