えびす神社の総本社である西宮神社(兵庫県西宮市)で、「十日えびす」に行われる神事。正式には「十日戎開門神事福男選び」という。参拝者が表大門の開門と同時に約230メートル先の本殿に向かって「走り参り」し、本殿に到着した上位3人がその年の福男として認められるというもの。1位の人を「一番福」、2位を「二番福」、3位を「三番福」と呼び、それぞれ認定証や御神像などが贈られる。福男という名称ではあるが、女性の参加も認められており、女性が上位に入れば福女として認定されるという。十日えびすは、年の初めに商売繁盛や五穀豊穣などを祈願するえびす講の1つで、1月10日の前後数日、全国のえびす神社で行われる。西宮神社では毎年1月9日から11日の3日間行われ、初日の9日を「宵えびす」、10日を「本えびす」、11日を「残り福」と呼ぶ。本えびすでは、神職の忌籠(いごもり)のため午前0時に神社の門がすべて閉じられ、十日えびす大祭が終わる午前6時になって表大門が開かれる。これを待っていた参拝者が一斉に「走り参り」していたことが福男選びの始まりだという説もある。西宮神社が福男認定を開始したのは1940年から。開門神事で一番参りした人をたたえるために始められた。近年、開門までの間の場所取りが問題になったため、現在ではスタート地点を3ブロックに分け、表大門に近い2ブロック分の約300人は抽選で位置を決定している。なお、十日えびすの祭りの起源は、年の初めに狩猟を行って神意をうかがう御狩(みかがり)神事や謹慎斎戒のための忌籠祭だといわれている。