通常は厨子(ずし)の奥に安置し秘蔵している仏像などを、何年かに一度、あるいは特別な年に、期間を限定し、仏舎利の扉を開け帳(とばり)をあげて公開することを開帳という。出開帳は、遠方まで赴き開帳をすることをいい、回國開帳(廻国開帳)ともいう。出開帳が盛んだった江戸時代には、江戸を中心に、京都、大坂、名古屋で数多くの出開帳が催され、その多くは伽藍(がらん)などの修繕費用の捻出が目的であった。京都嵯峨の清涼寺(釈迦如来)、長野の善光寺(阿弥陀如来)、山梨身延山の久遠寺(祖師像)、千葉の成田山新勝寺(不動明王)は、江戸出開帳四天王と呼ばれ、多くの人々を集め、評判となっていたという。明治以降は廃れたものの、成田山新勝寺は開祖1070年にあたる2008年、歌舞伎の成田屋との縁で新橋演舞場において出開帳を行っている。13年の4月から5月にかけては、東京墨田区の回向院で、善光寺が73年ぶりとなる出開帳を行う予定。秘仏の本尊の分身で、出開帳に造られた一光三尊阿弥陀如来像や、東日本大震災で被災した松から造られた地蔵尊などを公開する。参拝料とさい銭は、輸送費などを除き、全額が復興支援に充てられる。