「三菱一号館」とは、鹿鳴館などを手掛けたイギリス人建築家ジョサイア・コンドル(1852~1920)が設計、クイーン・アン・スタイルの赤煉瓦(れんが)を用い、1894年(明治27)に竣工された明治期を代表する歴史的建造物で、丸の内に誕生した最初のオフィスビルとして知られた。1968年に解体されたが、2009年4月30日に、当時の設計図面や保管部材を使い復元作業を終えて竣工。丸の内の文化・芸術の中核を目指して、10年4月、三菱一号館美術館としてオープンする。館長は前国立西洋美術館学芸課長の高橋明也氏。オープンに先立ち、09年9月から竣工記念展として、丸の内の歴史や三菱一号館の意義を紹介する展覧会で初めて一般公開。10年4月の開館記念展は「マネとモダン・パリ」展。今後は、建物との同時代性を意識した19世紀西洋絵画を中心に、近代美術に焦点を当てつつ現代に通じる企画テーマ展を年に3~4回計画していく。所蔵作品としては19世紀末フランスの画家アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレックのポスター、リトグラフ等貴重なコレクション二百数十点。明治時代の意匠を味わえるミュージアムカフェを併設、また隣接する丸の内パークビル(09年9月3日オープン)との間の中庭は、バラやケヤキなどが植えられ緑と潤いにあふれるスペースとなっている。