ウエートレスがメイド(メード)スタイルで給仕するメイド喫茶(maid cafe)を鉄道の旅に取り入れたもので、メイド列車などとも呼ばれる。メイド喫茶は、もともと東京・秋葉原を中心に「おたく」と呼ばれる人たち向けに始まったコンセプトカフェで、いわゆる「メイドさん」が客を「ご主人様」「お嬢様」などと呼び、通常の喫茶店風の接客をするものや、料理にケチャップで絵を描いたり、一緒にゲームをしたり、記念写真を撮影したりする密な接客をするものまで、店ごとの特色がある。愛くるしい対象を愛でて安らいだり、癒しを感じたりする「萌え」という独特な情動と直結する内容が受け、2005年ごろを境に多くの店が登場している。メイドトレインは、そうしたメイド喫茶を列車内に再現しつつ、メイドさんが車内販売員となって、萌えパッケージの弁当やオリジナルグッズ販売をしたり、路線に合わせて衣装に工夫をしたりするという、メイド喫茶の新たな派生型を模索するケースとなる。また、メイドさんには声優志望の女性も多く、アニメの美少女キャラクターにアフレコするときのような「アニメ声」での車内放送など、ツボを突く演出も忘れていない。10年3月21日と22日に、イベントプロデュースのBSビジュアル(東京)とともに、鹿島臨海鉄道(茨城)が水戸から大洗までを往復する「マリンライナーはまなす号 メイドトレイン」を、ひたちなか海浜鉄道(茨城)が昭和40年代製造の旧型車両を使い、那珂湊~勝田~阿字ヶ浦~那珂湊のルートをたどる「汽車旅メイドトレイン」を運行して好評を博した。また、同年12月11日には、西武鉄道が池袋から西武秩父までを運行する「レッドアローメイドトレイン号」を企画している。チケットは、事前のネット予約や当日の先着順、旅行代理店によるパッケージツアーなどがあり、ワンドリンクや記念撮影などがパックとなるが、メイドさんとのツーショット撮影には別途料金が必要となる。