皇族が亡くなった際に行われる葬送儀礼のうち、一般の本葬に相当する儀式を指す。「斂葬」とは、遺体を墓に納めることを意味し、告別式に当たる「葬場の儀」と、納骨に当たる「墓所の儀」(天皇、皇后、皇太后、太皇太后の場合は「陵所の儀」)から成る。2012年6月6日に多臓器不全で亡くなられた三笠宮家長男の燐仁親王(ともひとしんのう)の斂葬の儀が、同月14日、東京都文京区の豊島岡墓地(としまがおかぼち)で行われた。これに先立つ12~13日に通夜を終えたご遺体は、当日の朝、霊車(れいしゃ)に移され、元赤坂の親王邸を出発。皇居沿いを北上し、首都高速を経て豊島岡墓地に到着すると、荘厳な雅楽が流れる中、会場奥に安置された。ここでまず、葬場の儀が行われ、喪主を務める長女の彬子(あきこ)さま、次女の瑤子(ようこ)さま、両親の三笠宮ご夫妻をはじめ、皇太子ご夫妻や皇族方、野田佳彦首相ら三権の長(内閣総理大臣、衆議院・参議院両院議長、最高裁判所長官)や閣僚、各国大使ら約660人が参列し、順次拝礼を行った。天皇皇后両陛下は、しきたりにより一連の儀式には参列されないが、6日から何度も親王邸を弔問し、当日には、勅使を務める川島裕侍従長らが、両陛下に代わって霊前に玉串を捧げた。ご遺体は、午後には東京都新宿区の落合火葬場に移動。ここで荼毘(だび)に付されたのち、再び豊島岡墓地に戻り、「墓所の儀」が行われた。遺骨は、02年に亡くなられた弟の高円宮憲仁(のりひと)さまの墓の向かいに葬られた。