東京の文京区、台東区などにまたがる地域にスポットを当てた季刊のタウン誌。正式名称「谷中 根津 千駄木」。この3つの町を中心に、北区田端、荒川区西日暮里などを含む下町を対象とする。NTTタウン誌大賞を2度(1985、88年)も受賞するなど、全国的にも高い評価を得たが、2009年8月初旬発行予定の第93号で終刊を迎える。この地域に住む乳幼児を抱えた3人の主婦、森まゆみ、仰木ひろみ、山崎範子が、「自分たちが本当に読みたい雑誌を作ろう」と1984年10月に創刊。「わが町」に暮らす人と歴史を丁寧に訪ね歩き、手書きの校正をそのまま見せるなど、商業誌にはない斬新な誌面づくりや、近隣購読者にはスタッフ自らが配達するなど、手づくりへのこだわりも話題を呼び、やがて雑誌の略称「谷根千」が、そのまま地域の呼び名として定着するほど人々に親しまれた。さらには「不忍池地下駐車場反対運動」や「千駄木安田邸保存運動」など、地域の住民運動も支援した。創刊から10年ほどは部数も右肩上がりで、40号台で1万部を突破。しかしインターネットの発達などで次第に部数を減らし、近年は存続に必要な最低ラインの7000部を割り込むようになったため、2007年2月には、93号での終刊を予告していた。