栃木、茨城、群馬、埼玉の4県にまたがる日本最大の遊水池。豊かな生態系を抱え、絶滅危惧種の植物や昆虫が数多く生息し、周辺住民の憩いの場ともなっている。2012年5月10日、環境省が、北海道の大沼、広島県の宮島など、他の8カ所とともにラムサール条約への登録候補地として正式に決定した。7月に条約事務局に通知し、正式登録される見込み。登録されれば、国内の登録地は計46カ所になる。元々、明治政府が足尾銅山の鉱毒を沈殿させるために、栃木県・旧谷中村を廃村にしてつくったという時代背景がある。現在は洪水の際の治水機能が最大の目的で、渇水の際の利水機能も。以前からラムサール条約への登録を期待する声があったが、湖などと違い、治水・利水のための工事が規制されてしまうため、反対論も根強かった。そこで、解決策として、従来の登録地にある、土地の形状変更をする場合などは環境大臣の許可が必要という項目を除き、狩猟を禁止するだけの「国指定鳥獣保護区」とすることで、遊水池を所管する国土交通省と登録を担当する環境省との合意が得られた。