フランス大統領が決定し、フランス政府が授与する同国の最高勲章。平時戦時に功のあった軍人をはじめ、文化・科学・産業・商業・芸術などの諸分野で、同国のために「卓越した功績」を残した民間人及び団体を表彰する。1802年5月19日、ナポレオン・ボナパルト(のちの皇帝ナポレオン1世)によって創設。今も使われる赤いリボンは、さらにさかのぼって17世紀に太陽王ルイ14世が設けた「聖ルイ勲章」の名残とされる。現在の叙勲は、名誉総裁である大統領が任命する賞勲局総裁が運営。16人からなる議定官会議が、新規の叙勲や昇級の申請が、法と規約に沿うものかを確認する。等級は下から順に、シュバリエ(Chevalier 5等)、オフィシエ(Officier 4等)、コマンドゥール(Commandeur 3等)があり、その上にディニテ(Dignite)と呼ばれる2つの等級、グラントフィシエ(Grand Officier 2等)とグランクロワ(Grand-Croix 1等)がある。フランス国民の場合、シュバリエ叙勲には公職に最低20年、それ以外の職業なら25年の勤続が必要で、その間の顕著な功績が求められる。昇級には5等から4等まで8年、4等から3等まで5年、3等から2等まで3年、2等から1等まで3年が必要。フランス人は例外なくシュバリエから始まるが、外国人の場合は最初から上級を授与されることもあり、国家元首ならグランクロワ、首相クラスにはグラントフィシエなどとなっている。2012年9月8日、パリの大統領府エリゼ宮で同年の授与式が行われ、元ビートルズのポール・マッカートニーが「音楽の歴史に多大な貢献を残した」としてオフィシエを受章した。これまでに外国籍の受章者は約1500人で、うち1割が日本人。その中には大江健三郎(コマンドゥール)、小澤征爾(オフィシエ)、筒井康隆(シュバリエ)、北野武(シュバリエ)、池田理代子(シュバリエ)などがいる。