「鳴門秘帖」「宮本武蔵」「太閤記」「新・平家物語」「私本太平記」などの長編約80編、短編約180編を執筆し、1960年には文化勲章を受章した国民文学の巨匠、吉川英治(1892~1962)の偉業を記念し、67年に創設された文学賞。財団法人吉川英治国民文化振興会が主催し、講談社が後援する。国民文学の権威ある賞として、年に1回、エンターテインメント系の優れた小説を発表した作家に贈られる。67年の第1回は松本清張が受賞、その後の受賞者も、山岡荘八、司馬遼太郎、五木寛之、池波正太郎、井上ひさし、藤沢周平、宮部みゆき、浅田次郎など、そうそうたる顔ぶれが並ぶ。2011年の第45回受賞者は3月3日に発表があり、森村誠一が「悪道」で受賞した。吉川英治賞には、このほか、文学賞と同時に創設され、日本文化の向上に尽くしながら報われることの少ない人々を対象とした吉川英治文化賞と、1980年に創設された吉川英治文学新人賞がある。第45回となる文化賞は宇梶静江、木村若友、具志堅隆松、斎藤晶、笹本恒子が選ばれ、第32回となる新人賞には、辻村深月が「ツナグ」で選ばれた。