世界的に活躍する建築家、伊東豊雄の作品を展示する建築ミュージアム。2011年7月30日、瀬戸内海の大三島(愛媛県今治市)にオープン。日本初の建築をテーマにした本格的なミュージアムで、建築家の名前を冠したことでも日本初。伊東豊雄は、1941年6月1日京城(現ソウルあたり)生まれ。東京大学工学部建築学科卒業。71年アーバン・ロボット(現・伊東豊雄建築設計事務所)を設立。2002年第8回ヴェネチア・ビエンナーレ建築展で金獅子賞。06年王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル。主な作品に「せんだいメディアテーク」(01年)、「まつもと市民芸術館」(04年)、「多摩美術大学図書館」(07年)、「座・高円寺」(08年)など。ミュージアムは、敷地約6300平方メートルで、4種類の多面体が結晶状に連結した船を思わせる外観の「スティールハット」と、日本建築学会作品賞を受賞した伊東の旧自邸を移設・再現した「シルバーハット」の2棟で構成されている。篤志家からの1億円の寄付と、伊東が投じた5000万円の私費を受け、今治市が総事業費3億円で整備した。スティールハットは伊東の建築物の模型を展示、シルバーハットは図面や建築資料、映像などの収蔵・閲覧スペースで、研修や調査研究施設として使われる。今後は、伊東が11年5月に東京都内で開校した「伊東建築塾」とミュージアムを拠点に、少数精鋭の若手建築家の育成や子ども世代の教育を行い、地域と交流しながら建築文化を発信していく。