山岳医学の臨床と研究をあらゆる面において実践できる医師を養成するために、国際山岳連盟医療部会(UIAA MedCom)により1997年に制定された国際認定登山医制度。現在はUIAAと国際登山医学会(ISMM)、国際山岳救助協議会(IKAR)の3組織が認定、オーストリア、ドイツ、イギリス、フランス、スイス、スペインなどが導入している。2010年度より日本においても、国際認定資格を取得できる研修会が日本登山医学会主催で発足。日本登山医学会会員で、研修を修了し試験に合格した医師に与えられる。年々、山岳診療所での患者数は増加しているが、現実には、個人の医師の経験にまかせられていて、標高差や薄い空気など山岳特有の環境における医療は十分に研究されていなかった。研修会では、高山病、凍傷、低体温症など登山中に起こる病気やけがの最新の治療法を学ぶほか、山岳地帯に至る旅行医学の知識と実践、さらには山岳環境でのサバイバルとレスキューの技術を体得する。教程は111時間。今後は経験を積んだ看護師や救命救急士にも対象を広げる予定。