静岡県富士宮市に根づいたやきそば。めんを蒸した後、ゆでずに冷やして表面を油でコーティングするため一般的なやきそばとくらべて水分が少なく、めんにコシがある。ラードを搾った後に油で揚げた「肉かす」を加え、「だし粉」とよばれるイワシの削り粉をふりかけるのが主な特徴。地域活性化をめざす民間のワークショップに集まったメンバーにより2000年に富士宮やきそば学会が設立され、渡辺英彦会長を中心にやきそばを使ったまちづくりを推進している。秋田県の「横手やきそば」や群馬県の「太田焼きそば」と連携するなど、他のご当地グルメとの交流を盛んに行う一方、04年には富士宮市内にアンテナショップをオープン。同学会によると、やきそばのまちおこし活動による経済効果は、01~06年度の6年間で約217億円に達するという。06年から始まったB級グルメフェスティバル「B-1グランプリ」の初回から2年連続でゴールドグランプリを受賞し、B級ご当地グルメブームの火つけ役として知名度が高まった。また学会では、やきそば文化や作り方などを指南する研修会も開催している。