日本学士院が、人文科学、自然科学の両分野から毎年計9件以内の優れた学術研究を選定し、その研究者を顕彰する賞。対象は日本学士院の会員を除く国内の研究者で、受賞者には、賞状、賞牌(メダル)、賞金100万円が贈られる。学術研究を対象とした国内の賞の中でも、特に権威のある賞の一つに数えられ、1910年の創設以降、受賞者には、野口英世、湯川秀樹、朝永振一郎ら、日本を代表する研究者が名を連ねている。1879年に創設され、福沢諭吉が初代会長(現在は院長)を務めた東京学士会院を前身とする日本学士院は、日本の教育・学術の発展を目的として文部科学省に設置されている栄誉機関で、海外のアカデミー(学士院)との交流や、論文集「日本学士院紀要」の発行、研究費の補助活動などを行う。会員は、顕著な功績を挙げた学者のうち推薦と選挙を経て選ばれた上限150人。会員は、法的には国家公務員特別職となり、功績顕彰として年額250万円の終身年金が支払われる。授賞制度は日本学士院の主要事業の一つで、日本学士院賞のほか、日本学士院賞を受賞した研究からさらに、人文科学、自然科学の各部門1件ずつを選んで贈られる恩賜賞、自然保護および種の保全にかかわる学術的成果を挙げた者に隔年で贈られる日本学士院エジンバラ公賞などがある。100回目を迎えた2010年度の日本学士院賞には9件11人の研究者が選ばれ、そのうちiPS細胞の研究で知られる山中伸弥京都大学教授、能楽史の研究で知られる表章(おもてあきら)法政大学名誉教授には、恩賜賞が贈られることが決まった。授賞式は同年6月に行われる。