スイス南部にあるイタリア語圏都市ロカルノで、毎年8月に開かれる国際映画祭。カンヌ、ベネチア、ベルリンと並び世界4大国際映画祭のひとつとも言われ、1932年に始まったベネチア国際映画祭に次いで古い46年に創設された。若手の登竜門とされ、新人監督や無名の秀作などを発掘してきたことでも知られる。期間中約300作品が上映され、世界中から20万人を超える人が訪れる。第64回は2011年8月3~13日に開かれ、メーンとなる国際コンペティション部門で、青山真治監督の「東京公園」(三浦春馬、榮倉奈々/出演)が「金豹賞審査員特別賞」を獲得。これはこれまでの実績も加味した特別賞で、常設の最高賞「金豹賞」に匹敵するものという。また、富田克也監督の「サウダーヂ」が、同部門で批評家賞を受賞。ほかにも「コンペ外部門」で真利子哲也監督の「NINIFUNI」がノミネート。さらに市の広場「ピアッツァ・グランデ」に特設された約8000人収容の野外劇場では、ダウンタウンの松本人志が監督した「さや侍」が上映された。同映画祭は日本映画の発掘に積極的で、これまで1970年に実相寺昭雄の「無常」、2007年に小林政広の「愛の予感」が「金豹賞」を受賞。また、09年には日本アニメの特集「Manga Impact」を開催し、富野由悠季と高畑勲に「名誉豹賞」を贈っている。なお、第64回の「金豹賞」は、アルゼンチン出身でスイス国籍も併せ持つ女性監督ミラグロ・ムメンターレーの処女長編「扉と窓を開く」が受賞した。