大奥女中が私的に使う女中。部屋方、又者(またもの)などと称された。部屋方は、長局(ながつぼね)に与えられた大奥女中の部屋に同居して勤務した。たとえば、老女の部屋には10人ほどの部屋方がおり、局(つぼね)1人、側(そば。合之間 [あいのま]ともいう)が6人、たもんが4人ほどいた。局は朝廷で身分の高い女官を称するものだったが、大奥では部屋方の女中頭を呼んだ。側は、御家人のほか、江戸や近郊農村の裕福な家庭の娘が縁を頼って召し抱えられた。たもんは、水汲みや炊事を行うが、安房あたりから身体剛健な娘が雇われた。老女は、縁者の娘を部屋子として育て、御次(おつぎ)や御中(おちゅうろう)に推薦した。部屋子は、部屋方からは「御嬢様」と呼ばれた。若いOLに煙たがられる古参OLを「お局さま」と呼んだりするが、その源流は大奥の部屋方にあったといえる。部屋方の中には、局のいじめに耐えかねて自殺した者もあったという。
大奥女中(おおおくじょちゅう)
大奥に勤務する女中で、御年寄をはじめとして多くの役職があった。
老女(ろうじょ)
大奥女中を統轄(とうかつ)する責任者。御年寄の別称。
朝廷(ちょうてい)
天皇が政治を行った政府。数々の儀式や祭祀も行った。
大奥(おおおく)
江戸城内にあった将軍の正室や側室の住居。
御家人(ごけにん)
1万石未満の将軍の直臣で、御目見得以下(将軍に拝謁できない)の者をいい、約1万6000人いた。
御次(おつぎ)
数ある大奥女中の役職の一つ。
御中(おちゅうろう)
数ある大奥女中の役職の一つ。将軍や御台所の身の回りの世話をする。将軍の側室は将軍付きの御中だった。