死罪、獄門、火罪、磔、鋸引きに付加された刑罰。刑の執行前に、罪の内容を記した紙幟(かみのぼり)と捨て札を掲げ、罪人を馬に縛り付け、捕り物道具などとともに江戸市中を引き回した。さらし者にして、見せしめとする意味があったが、罪人には、江戸の最期の見納めとして喜ばれたともいう。幕府は社会秩序を維持する立場にあることから、犯罪を幕府の威信を傷付けるものと認識していた。そのため、刑罰を与えるときは、見懲(みご)らしとして公開のものが多かった。
死罪(しざい)
死刑のこと。正確には、死罪は、斬首のうえ胴を様斬り(ためしぎり)に使用されるもので、単なる斬首は下手人と呼んだ。
獄門(ごくもん)
死罪の付加刑で、首を小塚原あるいは鈴ケ森の刑場に3日2夜さらす。
火罪(かざい)
死罪の一つで、放火犯に適用した火焙りのこと。
磔(はりつけ)
死罪の一つで、罪人を柱に縛りつけ、槍で刺す。
鋸引き(のこぎりびき)
死罪の一つで、主殺しの刑罰に対し、地面に体を埋め、竹製の鋸で首を切る。
捕り物(とりもの)
刑事事件の容疑者を連行する際、抵抗の恐れがあるときに、与力・同心が出張すること。
幕府(ばくふ)
武家の政府で、もともとは近衛大将や征夷大将軍の居所を指したが、鎌倉幕府以来、征夷大将軍に任じられた武家が政治を行う場所やその政府のことをいった。