江戸庶民が生んだ風俗画。初期のころを中心に肉筆画もあるが、版画がそのほとんどを占める。創成期には、『見返り美人図』(肉筆画)で著名な菱川師宣(ひしかわもろのぶ)が活躍した。18世紀後半が浮世絵の最盛期で、鈴木春信(すずきはるのぶ)、鳥居清長(とりいきよなが)などが出て、多色刷りで鮮やかな錦絵が登場した。中でも東洲斎写楽(とうしゅうさいしゃらく)が役者絵、喜多川歌麿(きたがわうたまろ)は美人画で名高く、顔を大きく強調する大首絵(おおくびえ)の手法を用いて、優れた作品を描いている。文化・文政期(1804~1830)には、歌川広重(うたがわひろしげ)による『名所江戸百景』や葛飾北斎(かつしかほくさい)の『冨嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)』など、風景画のシリーズが描かれるようになった。