江戸の私娼地。江戸では、吉原以外での売春は非公認であったが、実際には半公認の私娼地が各所にあり、岡場所と呼ばれた。深川八幡周辺、谷中、根津、音羽、赤坂など寺社の門前や盛り場の裏町に百数十カ所もあったという。品川、内藤新宿、板橋、千住などの宿場にも宿場女郎(しゅくばじょろう)と呼ばれる女性がおり、これを岡場所に含めることもある。岡場所では昼夜を四つないし五つに区切って客を取り、金1分ほどで遊べたため、参勤交代で江戸に暮らす諸藩の勤番武士や大店の奉公人などで繁盛した。
吉原(よしわら)
元和3年(1617)にできた幕府公認の遊郭で、日本橋葺屋町の一部に、家康の許可を得て開設された。明暦3年(1657)8月、浅草寺裏に移転。
参勤交代(さんきんこうたい)
各地の諸大名を江戸に参勤させる制度。
藩(はん)
将軍から1万石以上の石高(こくだか)を与えられた大名が治める、それぞれの地域に設けられた政治機構。