天皇の仰せを側近の女官(女房)が伝えた仮名書きの奉書、つまり上意を奉じて出す文書のこと。これを作成するのは、女官の取り締まりや外との交渉にあたる長橋局(ながはしのつぼね)である。本紙と礼紙の2枚に、独特の優美な散らし書きという形式で書かれた文書である。平安時代(794~12世紀末)以降、天皇の意向を内々に伝えるのは、綸旨(りんじ)という文書だったが、これは官位などを与えるときにのみ使われるようになり、天皇の意向を伝えるのに、女房奉書がその代わりの役割を果たすようになった。戦国時代には、天皇自身が書いたものもあった。江戸時代には、大名からの献上に対して、女房奉書で礼状が出されており、諸藩の文書に多く残されている。
大名(だいみょう)
将軍の直臣のうち、1万石以上の知行(ちぎょう。幕府や藩が家臣に与える、領地から年貢などを徴収する権利)を与えられた武士。
藩(はん)
将軍から1万石以上の石高(こくだか)を与えられた大名が治める、それぞれの地域に設けられた政治機構。