歌舞伎の名優を千両役者と称する。これは、その年間の給金が1000両だったことによる。歌舞伎は、江戸では中村座、市村座、森田座の三つの劇場があり、経営者を座元(ざもと)という。歌舞伎役者は、この劇場に1年契約で雇われる。市川團十郎などの役者は、弟子を引き連れ、衣装を自分持ちで出演する座頭(ざがしら)であり、弟子や衣装代を含めた給金が年間1000両だったのである。座頭は代々世襲で、市川團十郎(成田屋)、尾上菊五郎(音羽屋)、中村歌右衛門(成駒屋)、岩井半四郎(大和屋)、松本幸四郎(高麗屋)、片岡仁左衛門(松島屋)、坂東三津五郎(大和屋)などがある。